体重は膝や股関節の痛みと関係ない?
“Wolffの法則”でわかる痛みの本当の原因
「痩せたら膝の痛みは治りますよ」
「体重が重いから股関節が痛いんですよ」
こうした説明を医療機関や周囲の人から言われた経験がある方は多いと思います。
しかし結論から言うと体重そのものは、膝痛や股関節痛の“直接の原因”にはなりません。
体重が痛みの原因であるとすれば、力士は相撲どころじゃないですよね。
その根拠が Wolff の法則(ウォルフの法則) です。
■ Wolffの法則とは?
Wolffの法則は、19世紀のドイツの外科医 Julius Wolff が提唱した概念。
● 一言で言うと…
骨は“かかる力の方向”に合わせて形と強度を変えていく。
つまり人間の骨は、
「どれだけ重い荷重がかかるか」よりも、
「どんな方向に、どんな癖のある力がかかるか」
によって姿形や反応が変わります。
これは現代でも確立された医学的原則です。
■ 体重が重いと関節に負担では?
多くの人が誤解しがちなのはここです。
確かに、理論上は「体重が1kg増えれば膝にかかる負荷は約3~4kg増える」と言われることがあります。
しかし、これは “正常な力の方向で立っている時に限った数式上の話” です。
実際の身体はもっと複雑で、
体重が重い人でも全く痛みがないことは珍しくありません。
逆に、痩せているのに膝や股関節が激痛の人もいます。
これは「体重=痛み」では説明できません。
■ 体重より重要なのは“力のかかる方向”
Wolffの法則を膝・股関節に当てはめると重要な事実が見えてきます。
● 骨は“負荷に適応する”
長い期間同じ方向に負荷がかかると、その負荷に耐えられるように骨は強度を増します。
つまり、
-
重い体重
-
日常の歩行
-
階段の上り下り
これらの“まっすぐした負荷”には、骨はむしろ適応していく。
だから肥満の人でも 痛みゼロで普通に生活している人は山ほどいるのです。
■ 痛みが出るのは「体重」ではなく「偏った力」
では膝や股関節が痛む人は何が起きているのか?
答えは、
“力の方向がズレている(=アライメント異常・力学的ストレス)”
ことです。
たとえば…
● 膝
-
O脚で膝が重心から逸脱する
-
足首の過回内(内側へ倒れ込み)で膝がねじれる
-
太ももの筋が硬く、膝のお皿が外へ引っ張られる
これらは“体重”ではなく
“力が偏ってかかる状態”です。
同じ60kgの体重でも、
-
まっすぐ荷重できる人 → 痛みなし
-
内側・外側へ偏る人 → 同じ体重でも痛む
これはまさに Wolffの法則の応用で説明できます。
正しい方向からの負荷 → 骨・関節は適応する
間違った方向からの負荷 → 炎症・損傷・痛みを起こす
つまり、痛みの原因は体重ではなく 力の方向の問題 です。
■ 股関節痛も同じ原理で説明できる
股関節は球状関節で、さまざまな角度に動きます。
そのため、
-
大腿骨が内巻き(内旋)
-
骨盤が前倒れ(前傾)
-
お尻の筋力低下で股関節が内側へ崩れる
こうした「力の方向の乱れ」が起きると、
股関節の前側や外側に限局した痛みが発生します。
ここでも体重ではなく、“方向”と“関節の安定性”が痛みの全てを決める のです。
■ ではどうすればいいのか?
痛みを改善するために必要なのは
体重を減らすことではなく、力の方向を整えること。
-
足の向き
-
膝のねじれ
-
股関節の位置
-
体幹の使い方
-
歩き方
これらを整えると、「体重は変わっていないのに痛みが消えた」という声を臨床でよく耳にします。
■ まとめ
-
Wolffの法則は“骨は力の方向に適応する”という法則
-
体重そのものは、膝や股関節の痛みの直接原因にはならない
-
肥満でも痛くない人が多いのは、骨が負荷に適応しているから
-
痛みの本当の原因は“力の偏り”=アライメントの問題
-
痩せるよりも、身体の使い方を変えるほうが痛み改善に効果的
〜名古屋のエルスパーク千種〜
この記事へのコメントはありません。