強いストレッチが逆効果になる理由②
「柔らかくなりたいからストレッチをもっと頑張ろう」
多くの人がそう思っていますが、実はストレッチはやりすぎると逆効果になります。
理由はシンプルで、
筋や腱に“微細な損傷(micro-tear)”が起こり、修復過程で“瘢痕化”が進むと、むしろ伸張性が下がるから。
■ 1. ストレッチし過ぎで起きる「微細損傷」とは?
筋肉・腱・筋膜は、無限に伸びるゴムのような素材ではなく、
コラーゲン線維が規則的に配列し、一定の張力や伸張限界があります。
ストレッチを強く・長時間やりすぎると…
● コラーゲン線維が“引き延ばされすぎる”
→ 線維が部分的に裂ける(micro-tear)
● 細胞外マトリックス(ECM)が変形して微小なダメージ
→ 炎症性サイトカインが放出
● 血管・神経の微小損傷
→ 痛みや張り、違和感の原因に
この「軽度の損傷」は筋肉痛とは違い、
自覚がほぼないか、“ストレッチした後に逆に硬くなる”程度の違和感として表れます。
■ 2. 損傷が起きると身体は「修復」する
その過程で“瘢痕(はんこん)”ができる
人間の身体は、損傷が起きれば必ず修復しようとします。
この修復プロセスが逆効果の根本。
▼ 修復の流れ
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炎症相(24〜72時間)
マクロファージが損傷部位を掃除 -
増殖相(数日〜数週間)
線維芽細胞がコラーゲンを大量に産生 -
リモデリング相(数週間〜数ヶ月)
余分なコラーゲンが硬い束になり、瘢痕化
特に 増殖相〜リモデリング相で作られるコラーゲン(Type III → Type I)は、太く硬く、伸びにくい性質があります。
つまり…
微細損傷 → 瘢痕化(硬いコラーゲンが増える) → 伸びにくい組織へ変化
これが、ストレッチ過多で柔軟性が低下する理由。
■ 3. 瘢痕化が進むと“伸張性が低下”する理由
● 繊維の走行が乱れる
ストレッチの方向に合わせて整列するはずのコラーゲンが、損傷と修復を繰り返すとランダムな方向に配列して硬くなる。
● 組織の粘性・弾性が低下
本来の筋・腱は粘性・弾性が高く、「伸びて戻る」性質が柔軟性を生んでいるが、瘢痕はゴムではなく硬いテープのような素材。
● 滑走性の低下
筋膜や腱鞘の間の滑りが悪くなり、伸ばすと“つっぱり感”が出る。
■ 4. よくある誤解
「硬いなら強く伸ばせばいい」は大間違い
柔軟性が落ちた時、多くの人がやりがちなことは…
より強く、より長くストレッチをすること。
しかしこれは
微細損傷 → 瘢痕化 → さらに硬くなるという負のループを加速させます。
特に以下の習慣は危険です:
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痛みを我慢して伸ばす
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反動を使って伸ばす
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1ポーズを2〜3分以上キープする
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毎日同じ部位へ強度の高いストレッチを繰り返す
■ 5. どうすれば“逆効果のストレッチ”を防げるのか?
① 中程度の強度で止める
「ピンと張ってるな」と感じる程度。
痛みがあるなら強すぎ。
② 短め × 複数回の方が安全
1回15〜30秒を2〜3セット
(1回を2分や3分伸ばし続けるより効果的)
③ ストレッチの前に筋や関節の動きを出す
軽い運動・歩行などで
血流と温度を上げておく。
④ 毎日ではなく“48〜72時間間隔”を空ける部位も必要
筋や腱の回復時間を確保することが大事。
■ 6. むしろ柔軟性を上げる最も安全な方法
実は、柔軟性向上にはストレッチだけでなく、
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筋力トレーニング
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軽い負荷の反復運動
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規則正しい生活
のほうが効果的なケースが多いです。
ストレッチはあくまでも一つの手段であり、“強く伸ばすほど柔らかくなる”という時代ではありません。
■ まとめ
ストレッチのやりすぎが逆効果になる理由
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強度の高いストレッチは筋・腱・筋膜に微細損傷を引き起こす
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修復過程で瘢痕化が生じ硬いコラーゲンが増える
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結果として伸張性が低下し柔軟性が落ちる
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痛みを我慢する強いストレッチはむしろ害
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適度な強度×短時間×回復期間が安全で効果的
〜名古屋のエルスパーク千種〜
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